僕には兄がいる
尊敬する兄だ
兄は自身の胸に描いていた夢を叶えた
しかし、僕は一時的な夢は叶えても
本当の本来の夢は叶えられずにいる
昔から、周りの人間から兄弟で比べられた
自分でも思ったさ
何で、こんなにも無力なんだって
何でこんなにも出来ないんだって
兄はできるのに、何で僕は出来ないんだって
そして、周りから言われ続けた
「お前なんていらない」って
邪魔だって
否定され続けてきた
誰も僕を必要となんかしてなかった
信用されなかった信頼されなかった期待されなかった
もう、うんざりだって思ったさ
だから、人間が嫌いになった
嫌いで嫌いで仕方なかった
心底呪ったし
心底恨んだ
気が遠くなるまで憎んだ
そんな事しても、何も変わらなかった
何一つ変わらなかった
むしろ、自分が落ちぶれてくだけだった
そうやって人のせいばかりして
いつだって口先ばっかりで、何が出来るわけないのに偉そうに、自分じゃ何もこなせないくせに
文句つける時は一人前だ
何様のつもりだ
よくもまあ、恥ずかしげもなく
のうのうと生きていられるもんだなぁ
からっぽだった 何も無かった
それなのに夢ばかり見てて
知恵や力なんて無いのに望みが高くて
努力も何もしてないのに理屈ばなり並べて
僕は僕が大嫌いだよ
何度も諦めようとした
諦めるのだって簡単なんかじゃなかった
何かしようって どにかしようって
何もしてこなかった訳じゃなかった
何もかも中途半端だったけど
何か出来るんじゃないかって試したりもした
でも、その結果がこれだ
その結果が今の僕だ
僕の無力も、無能も全てが全て
腐りきったエゴが理由だ
何もかも中途半端なくせに何かを成し遂げたいなんて傲慢にも程があるだろうよなぁ
本当は分かってた
全部、僕が悪いんだって事ぐらい
僕は最低だ
僕は僕が大っ嫌いだよ
そうやって自嘲して自嘲して自嘲して自嘲して自嘲して自嘲して自嘲して
僕は、無力で無知で無能だって事を自覚した
思い知った 直面した
そして、気づいた事があった
最初から有能で有力の人間などいない事を
自分は無力で良いんだって事を
開き直ったんじゃない
気づいたんだ
無力じゃ無いと前に進めない事を
無力だと自覚してないと前に進めない事を
誰だってそうだ
人は慢心になると、前に進む事をやめ成長できなくなる
無力だからこそ、前に進もうと思うようになった
知識を得ようとする様になった
知恵を絞る様になった
経験を力に蓄える様になった
無力だった主人公が努力して英雄になる方がカッコいいだろ
だから、無力でいいんだ
弱くたって良いんだ
少しずつ一歩ずつ
前に進めば
それだけで自分を認められる様になる
だから、無力を受け入れろ
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